おすすめのフィルムカメラはなんですか、という質問に対しての僕なりの考え。

 
そんなものはなーい。
 
僕は大学時代にそこそこまじめに写真をやっておりました。
なのでそのことを知っている友人にはよくカメラについての質問なんかもされておりました。
 
僕としては質問されること自体は嬉しいし、自分が知っていることはなんでもお話ししたいと思っているのですが、ひとつだけ答えに窮する質問がありました。
 
それは、「おすすめのカメラってありますか?」です。
 
今日はなぜこの質問が困るのか、それについての僕なりの答えをお話ししたいと思います。
 
 
 
 

 
まずお伝えしたいことは、フィルムカメラにおいてはカメラ本体の違いは写真には表れない、ということです。
 
わかりやすくデジタルカメラでお話ししますね。
デジタルカメラにおいてはセンサーや画質、ISO感度の幅などがカメラによって違うため、そのカメラの性能によって撮れる写真が違ってきます。
カメラそのものにそれぞれに個性があるわけです。
信じられないことに「写真を見るだけで」どのカメラで撮ったのかぴたりと言い当てる猛者も存在します。(限度はあります。)
 
ですがそれはデジタルカメラに限った話です。
なぜならセンサーも画質もISO感度も、フィルムカメラはこれらをカメラ本体では変更できないからです。
 
ではフィルムカメラでは何が写りに影響してくるんでしょうか。
 
 
 
  • こだわるべきはレンズ

 

 
まずは一番にあげるべきはレンズでしょう。
これはデジタルカメラでいう「画質」に大きくかかわってくる部分です。
(画質と画素数の関係性とかそういうめんどくさい話は置いといて。)
 
よいレンズというとなんだかボヤっとしていますが、ものすごくざっくりいうとF値が低いやつがいいレンズだと思ってください。
このF値が低いと常用できる時間やシチュエーションが増えるからです。
 
もちろんF値がいくら低くても開放で撮る機会はあまりありません。
ですがF値が低い=写真を撮る状況の自由度が増える、と考えるとそれだけでよいレンズと考えてもいいでしょう。
 
レンズにはスペック以上にそれぞれの個性があります
言葉にするのは難しいですが例えばはっきりくっきり撮れるレンズもあればぼやっと幻想的に撮れるレンズもあります。
特徴的なボケ方をするレンズもあります。
 
フィルム写真においてはカメラ本体によって差別化できる部分が少ないため、デジタル写真以上にレンズの影響を受ける面が大きいのです。
 
 
 
  • フィルムをいろいろ試してみる

 

 
2番目にあげる点はフィルムでしょう。
フィルムはデジタルカメラでいうとセンサーに当たる場所です。(だいたい)
写真としては「画質」と「ISO感度」がこのフィルムで左右されます。
 
デジタルカメラではそのセンサーと一生付き合っていかなければなりません。
が、フィルムカメラは違います。フィルムを入れ替えないと写真を撮ることがかなわないからです。
 
手巻きでもしない限り大体27枚か36枚ごとにフィルムを入れ替えるわけですが、このフィルムによっても写真は大きく変わってきます。
一眼レフに使うフィルムにも種類があってポジやらネガやらなんかたくさんの選択肢があるんですが今は置いときます。
 
大事なのは同じ種類、同じISOのフィルムでもメーカーやブランドによって全然違う写真が撮れる、というところです。
デジタルカメラを使っている方は写真モードの変更機能とかありませんか?
ざっくりいうとフィルムカメラではそれをフィルムで行っていると考えてください。
 
 
 
  • 現像方法をいろいろ試してみる

 

 
どれだけいいレンズを使っても、またどれだけ高いフィルムを使っても、一番写真の出来に大きく関わるのはこの部分です。
ただそれは自分で現像した場合に限ります
プロラボに現像をお願いする場合は特殊な現像以外は大体は同じような写真が出来上がるでしょう。
 
森山大道という写真家をご存知でしょうか。
ぶれっぶれのぼっけぼけのざっらざらなめちゃくちゃかっこいい写真を撮る写真家です。
 
もしもあなたが森山大道のような写真を撮りたいのであれば自分で現像を勉強するしかありません。
写真部員が一度は通る道です。ようこそこちら側へ。
 
 
 
  • 良い写真を撮るために一番大切なこと

 
これは断言しますがカメラの性能ではありません。
大切なこと、それはたくさんの写真を撮ることです。
極論を言ってしまえばレンズなんかも関係ありません。
森山大道の写真をみてください。カメラもレンズも全然関係ないですね。
 
まずは近くのカメラ屋さんに行って一番安いカメラとレンズを買ってきてください
そのカメラでたくさんの写真を撮ってください。
 
写真を撮る過程で撮りたい写真が撮りやすいカメラが自分で分かってくると思います。
たとえばシャッタースピードであったりセルフタイマーなんかの細かい機能の有無はカメラによって変わります。
カメラ本体の大きさや重さ、デザインも重要です。
そこらへんは人によってさまざまでしょう。デザインがよくてテンション上がるから写真を撮りたくなる、なんてことでも構いません。
 
まずは撮ることが重要です。
撮りながらゆっくりと自分自身にお勧めのカメラを探していきましょう。
フィルムカメラは安いです。なのでいろいろ試すハードルもデジタルカメラほど高くありません。
 
 
なので僕がよく聞かれる「おすすめのカメラは?」という問いへの答えはこうなります。
 
「一番近くのカメラ屋で一番安いフィルムカメラ
 
これが僕なりの精一杯の答えです。そのカメラで今すぐ写真を撮るんだ。